夜空に月が出ていた。





丸く霞んでぼやけた月は、
どうした訳かいつもより近くに見える。





視力が低下したせいだろうか。





あるいはアルコールのせいかも知れない。





その昔───





水面に映った月を取ろうとして、
溺れ死んだ詩人がいるという。





馬鹿げた話だが、
今なら詩人の気持ちが少しは理解出来る。





彼の失敗は、
水面に映った月を掴もうとした事だ。





俺なら空に浮かんだ月を掴む。




ほら、掴めた。





簡単な事だ。





酔っ払ってさえいれば───